建てたいものを実現するための最適な方法は分かっていますか?

誰に、何を、頼めばよいのか?

あなたが土地のオーナーで、その土地に建物を建てようとして
最初に設計者に相談する場合と、最初にゼネコン(工務店)に相談する場合と。
最大の違いは何でしょうか?

それは、あなたが建物を建てるための「役割分担」です。

海外で普及してきたデザインビルド、日本ではずっと前から行われてきた

すこーしだけ、歴史のお話をしますと、元々日本は大工棟梁が設計も施工も行っていたんですね。
といっても、今のように紙の図面を何枚も何枚も描いて設計していたわけではないのですが。
それが、明治時代になって、近代建築の技術が西洋から入ってくると共に、もっぱら設計をする「建築家」という概念も輸入されました。
この頃の建物の代表といえば、東京駅でしょうか。
当時は近代建築を建てる技術を持った大工などいませんから、建築家は工事の指導・監督をしていたんですね。
でも、建築家自身が工事をするわけではないので、設計と施工が別々に担われるようになったのです。

一方で、大工棟梁たちも近代建築の技術を学び、自分たちの組織で設計も施工もできるようになっていきました。
日本の大きなゼネコンは、この大工棟梁の流れを汲んでいるところが多いのです。
つまり、設計も施工も自社でできてしまうんですね。

あなたは服を買いたい時,デパートに行きますか?ユニクロに行きますか?

ここで元の話に戻りますと、建物を建てる場合
設計と施工を同じ組織が担う方法も、別の組織が担う方法もあるということです。

一般的に言ってどちらがよい、という話ではありません。
(これは建築業界を巻き込む大論争にもなった、根深い問いなのです)
でも、あなたにとって、あなたが実現しようとしている建物にとって、どちらがよいかは考える必要があります。

あなたの予算が青天井、建物の完成はいつになってもいい、
その代わりにユニークで街ゆく人が振り返らずにはいられないようなものを建てたいなら、まず設計者を探すことになるでしょう。
自分がこれぞと思う建物を見つけたら、その設計者に依頼するのもよいでしょうし、
面白い、ぜひこの人に設計してほしいという「人ありき」でもよいですね。
あなたの思いや夢をしっかりと伝え、イメージをかたちにしてもらいましょう。
設計が完了したら、それ実現する力を持った施工者を探しましょう。

逆に、あなたが建物のデザインやよりよい機能など興味がなくて
必要最低限の機能を満たす建物を、最短の期間と最小のコストで実現したいなら、
設計と施工を同じ組織に頼むほうがよいでしょう。
効率的な施工を行えること、より安くなることを優先して設計を進めてもらい
設計が完了したら、タイムロスなく施工を始めてもらいましょう。

でも、これらの2つは非常に極端な話です。
ほとんどの方は、デザインも機能もよりよいものがほしい、一方で早く安くできるならそれに越したことはない、と考えているでしょう。
また、設計者や施工者の規模や特徴も多種多様で、
大手設計事務所を凌駕するほどの設計能力を持ったゼネコンもありますし
設計と施工を同じ組織で行えば必ず安くなるとも限りません。

ただし、設計と施工を一括で依頼すれば、建物に関する責任の所在は明確です。
設計と施工が別の組織なら、役割分担のすき間が生じたり、問題が生じたときに責任の押し付け合いになる場合があります。
また、設計者と施工者のそれぞれを選び、契約する手間と時間が2回かかりますが、
同じところに依頼すれば原則として1回で済みます。

工事費の見積は施工者によって差異が生じるものですから、設計者が設計を進めている間は、工事費が予算に収まるか不安がつきまといますが
設計と施工が同じであれば、設計の途中で工事費の概算を出してもらい、軌道修正することが可能です。
一方で、設計と施工が同じ組織であれば、いずれにせよ自社が責任を取るのですから、
施工は現場にお任せで、設計者によるチェック機能は弱くなるでしょう。
設計者が施工のし易さを優先し、デザインがつまらなくなるという不満が出ることもあります。
また、普段は施工だけを行っており、建築士事務所登録は
しているものの設計機能をほとんど持たないとか、設計能力が薄いという施工者もいます。

結局どうしたらいいの?

ここまで読んで、結局どちらがいいの!?と思われた方に
「あなたのやりたいことの図面化(基本設計)までを設計者に依頼し、
工事ができるような図面の詳細化(実施設計)と実際の工事を施工者に依頼する方法もありますよ」とか
「設計段階で施工者を決めて設計の協力を依頼する方法もあるんです」などと言ったら
いい加減にしてくれ~と怒られそうですね…。

大切なのことは、いろいろな方法があること、それぞれに特徴があることを理解した上で
あなたにとって最適な方法を選ぶこと。

※これら発注方式を今後、図表にまとめて整理したものを公開予定です

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